:ベテラン(固定観念に囚われている)
:上司(固定観念を崩そうとしている)
個人の多様性を見ず、対象を大きなカテゴリー(例:若者、女性、外国人、文系)に分類し、そのカテゴリーの典型的なイメージで判断する。
たった一つの事例や経験を、そのカテゴリー全体に当てはめてしまう。「一を聞いて十を知る」という誤った確信を持つ。
過去の成功体験や慣習に基づくイメージを強く持ち、社会や環境の変化(例:働き方、テクノロジー)に対応できず、拒絶する。
固定観念に合致する情報や経験(確証バイアス)のみを強く記憶し、矛盾する情報をすぐに忘却または無視する。
論理的な根拠や客観的事実よりも、固定観念にまつわる感情的なイメージや連想(例:安心感、不快感)に基づいて判断する。
ベテラン社員(固定観念が強い)が、新しく入社した中途採用の若手に対し、「最近の若者はすぐに辞める」という固定観念に基づいて接している場面。
新人の教育は、そこそこでいいんじゃないですか。どうせ『最近の若者』は、うちの会社のような地道な仕事はすぐに嫌になって、1年と持たずに辞めるんだから(①カテゴリー依存性)。」 (→個人特性を見ず、「若者」というカテゴリーで判断している。)
そう決めつけるのは少し早計ではないですか? 確かに過去にはそういう例もありましたが、それは個人の性質ではなく、時代の変化や組織の環境が原因だったことも多いですよ。
いやいや、そうじゃない。前にOJTを担当した若者も、3ヶ月で辞めた。だから、『若者は忍耐力がない』というのは、僕の経験から導き出された事実ですよ(②過度な一般化)。」 (→ たった一つの経験を、カテゴリー全体に一般化し、事実であると主張している。)
その経験は貴重ですが、新しく入社したAさんは入社面接で『ITスキルを活かして、この会社の伝統的な営業手法をデジタル化したい』と明確に話していました。Aさんの持つ新しいスキルを活かせるよう、教育方法を少し変えてみてはいかがですか?
デジタル化? 無駄ですよ。この業界では、昔ながらの『足で稼ぐ』営業スタイルがベストだと決まっているんです(③変化への抵抗)。新しいことをやっても、現場は混乱するだけだ。 (→ 過去の成功体験や慣習という固定観念に縛られ、変化の可能性を拒絶している。)
デジタル化を進めて成功した競合他社の事例データがあります。去年の実績でも、彼らのオンライン商談での受注率は、私たちの対面営業を上回っていますよ。
そんなはずはない。僕の知っている限り、デジタル化に成功した企業なんてない。きっと、そのデータは都合よく数字を操作しているに違いない(④フィルタリング)。成功例なんて、目に入らないな。 (→ 固定観念に合わない客観的な事実(競合の成功)を否定し、記憶から排除しようとしている。)
では、視点を変えましょう。経験豊かな『足で稼ぐ営業ノウハウ』を、Aさんの持っている『デジタルツールのスキル』と組み合わせるという形で、まず1ヶ月だけ試すのはどうでしょう? Aさんの指導は、ベテランにしかできません。
……僕のノウハウを教えるのは、まあいいだろう。どうせ無駄になるだろうが、1ヶ月だけ、僕のノウハウのすごさを思い知らせてやるつもりでやってみます。 (→ 固定観念は残っているものの、上司の誘導により、個人の能力を活かす「協働」という建設的な行動(1ヶ月の試行)には同意した。)
現代社会では、多様化が進む一方で、情報過多により思考が簡略化され、この固定観念(ステレオタイプ)がより強く機能しやすい状況があります。
固定観念の強い相手を動かすためには、以下の点に留意する必要があります。
【直接否定しない】
「あなたの考えは間違っている」と直接否定すると、相手は防衛的になり、固定観念がさらに強まります。
【カテゴリーを個人に】
「若者」というカテゴリーから、「Aさんという個人」の具体的なスキル(ITスキル)に焦点を移すことで、行動の議論に持ち込む。
【小さな行動の提案】
固定観念そのものを崩すのではなく、「どうせ失敗するだろうが」という相手の固定観念に矛盾しない言い訳を与えつつ、ごく短期間の「新しい行動(1ヶ月の試行)」を促すことが重要です。
刺激的な出会いがあれば、脳のリソースが注がれ固定観念を壊す原動力になるかもしれません。
人間の脳はエネルギーの節約に励んでいるように感じます。現代の情報過多の状況は脳に多大な負荷を与えているのかもしれません。
投稿日: 2025年12月31日 - 更新日: 2025年12月31日