:パートナーA(常に最悪の事態を想定)
:パートナーB(客観的データ重視)
過去の出来事を振り返った際、成功や喜びよりも、失敗や屈辱的な経験を詳細かつ鮮明に記憶している。
ニュースや報道を見た際、ポジティブなトピック(例:景気回復の兆し)よりも、危機や不安を煽るトピック(例:増税、事件)に強く反応し、長時間固執する。
他者からの評価において、9つの褒め言葉よりも、たった1つの批判や指摘の方を重く受け止め、それを自己全体の価値と結びつけてしまう。
新しい行動や挑戦をする際、成功の可能性よりも失敗の可能性や最悪の事態を過剰に予測し、必要以上に慎重になる。
初対面の人や新しい場所について、たった一つのネガティブな特徴(例:少し無愛想だった)を、全体的な印象として固定してしまう。
新しい事業立ち上げについて話し合っている場面。パートナーA(ネガティビティ・バイアスが強い)は、小さなリスクを過大評価し、計画全体を悲観的に見ています。パートナーB(客観的データに基づき議論しようとしている)が、パートナーAの視点を修正しようとしています。
新規事業の市場分析の結果、初期の成功確率は60%と出ました。これは過去のデータと比較しても高い数値です。
60%? 残りの40%は失敗するということだろう(④リスク過大評価)。しかも、一度失敗すれば、会社全体の信用を失う。そんなリスキーな賭け、絶対にすべきではない。 (→ 客観的に高い数値(60%)ではなく、不安要素(40%)に焦点を当て、それを過剰に深刻な結果に結びつけている。)
リスクはもちろんありますが、前回成功したX事業も当初は成功確率が55%でしたよ。私たちはあの時、冷静にリスクを管理して成功させました。
X事業は成功したけど、その前のY事業でのあの地獄のような失敗(①記憶の偏り)を忘れたのか? あの時、どれだけ社員が疲弊したか。成功の記憶より、あの時の痛みが頭から離れないんだ。」 (→ 成功体験よりも、ネガティブな過去の失敗体験を鮮明に記憶し、判断の基準としている。)
Y事業の反省は活かしています。今回、市場の専門家からは『斬新で非常に有望』だと9割以上がポジティブな評価を得ています。唯一の懸念は初期投資の回収スピードだけです。
専門家の9割が賛成でも、1割が反対している。なぜその1割は反対しているんだ? (③評価の非対称性) その1割の意見こそ、僕たちが注意すべき、致命的なリスクに繋がっているはずだ。 (→ 圧倒的なポジティブ評価を無視し、わずかなネガティブな意見に執着している。)
反対意見は、新規参入による既得権益層からの懸念というものでした。しかし、それを回避するための戦略も立てています。
回避できるかな。あの市場は、数年前に参入したZ社が最初の1年でつまずいて撤退しただろう(⑤最初の印象の偏り)。あの市場は鬼門なんだ。最初に躓いた企業は二度と立ち直れないという印象が強い。 (→ 過去の特定の失敗例(Z社のつまずき)を全体的な市場の印象として固定し、その後の戦略的な進展を無視している。)
あなたの慎重な視点はチームに不可欠です。しかし、この事業には大きな成長のチャンスがあることも事実です。では、『失敗の40%』を想定するのではなく、『失敗しないための具体的な対策』を10項目洗い出す作業を最優先で担当していただけませんか? あなたの視点こそ、そのリスト作成に必要です。
ネガティビティ・バイアスは、かつて生命の危機を回避するために重要な生存戦略でしたが、現代社会ではチャンスの過小評価や過度な不安に繋がります。
経験や情報を受け取る初期段階で、ネガティブな要因を過剰に重視している状態は、人間の基本的な心理的・認知的傾向です。これは生存本能に根ざしたバイアスであり、現代社会の不安やニュースの報道にも強く影響しています。
今回の会話例では最後にネガティビティ・バイアスの対処法が示されています。
【承認】
相手のリスクへの懸念を否定せず、「その視点はチームに不可欠だ」と承認する。
【フレーミングの変更】
議論の焦点を「失敗の可能性(40%)」から「失敗しないための具体的行動(対策10項目)」へと変える。
相手のネガティブなエネルギーを、建設的かつ具体的な行動へと転換させています。
心配していたことの大半は現実にはならない。むしろ想定外のことが起こることの方が多い。
投稿日: 2025年12月31日 - 更新日: 2025年12月31日