:先輩(健全なアイデンティティ)
:後輩(アイデンティティが不安定)
職場、家庭、趣味など、複数の役割や状況で自己の価値観や行動に大きな矛盾がなく、自己を安定して保てる。
親や社会から与えられた価値観ではなく、自分で熟慮し、実験し、主体的に選択した価値観に基づいて行動している。
SNS上の「理想の自分」や職場の「プロの自分」など、多様な側面の自己を矛盾なく統合し、自己の全体像を受け入れている。
自分の核となる部分は保ちつつ、新しいテクノロジーや異文化、未経験の職務環境に対し、自己を柔軟に適応・修正できる。
自分の選択した職業的・思想的な役割に対し、明確な目標と熱意を持ち、未来に向けた具体的な行動を起こしている。
大学を卒業し、就職したものの、自分の仕事や生き方に確信が持てず、悩んでいる後輩(アイデンティティ拡散状態)と、アイデンティティが確立している先輩の対話。
先輩は自分の仕事にすごく自信を持っているように見えますが、正直、僕は自分がこの会社で何をしているのか、よくわからなくなってきました。周りの期待に応えようとしているだけで…僕の本当の役割って何だろう、と。
なるほど、自分の軸が見つからないんだね。それは決して悪いことじゃないよ。みんな最初は『仮の役割』を演じるところから始まる。でも、あなたが言う『周りの期待』って、具体的に誰の期待なの?」 (→ 後輩の悩みを理解しつつ、軸を「他者」から「自己」へ向けさせる問いかけ。)
親や先生、会社の先輩たち…立派な社会人になる『べき』という漠然とした期待です。僕もそうあるべきだと思ってこの道を選びましたけど、本当にこれが僕の望んだことなのかは自信がなくて。
『べき』に動かされているんだね。アイデンティティというのは、『~べき』を減らし、『~したい』を増やしていくプロセスだ(②価値観の選択)。この会社に入ったこと自体は良かったとしても、その仕事内容を『自分自身が選んでいる』という感覚はあるかい?
ありません。仕事では真面目な顔をしていますが、友達といる時は全然違う人間です。SNSではさらに違う人格を演じている気がして…。全部バラバラで、どれが本当の自分なのかわかりません。
バラバラでいいんだ。それは、色々な可能性を探っている証拠だよ。大事なのは、それぞれの役割の底に流れる『自分が大切にしていること(核となる価値観)』が同じかどうかだ(③多様な自己の統合)。例えば、どの役割でも『人を楽しませたい』という気持ちは共通しているとか。
核となる価値観、ですか…。それがわからないから悩んでいるのかもしれません。
じゃあ、それを探すために、今の会社で与えられた仕事のうち、『少しでも面白い』と思える部分に、期限を決めて、徹底的に集中してみるというのはどうだろうか(⑤コミットメント)? それが成功するか失敗するかは関係なく、その経験が自身の軸を作る。
期限を決めて集中する…。そうですね、今任されている企画書のデータ分析は、少し面白いと感じています。それを徹底的にやってみます。
アイデンティティは、自分が何者であるか、何を信じ、どのような役割を果たすべきかという「一貫した自己の感覚」です。現代社会は情報過多と多様性により、このアイデンティティの確立が複雑化しています。
アイデンティティの確立ができていないと下記の状態に陥りがちです。
【アイデンティティ拡散】
自分の役割や価値観に確信が持てず、不安定な状態。
【早期完了】
親や社会の価値観を疑問なく受け入れてしまい、自分で探索・選択(モラトリアム)を経ていない状態。
会話例のように下記のステップを踏むことでアイデンティティを確立するきっかけを得ることができます。
step1.アイデンティティの拡散状態
step2.価値観の選択性の欠如
step3.役割の一貫性への悩み
step4.柔軟性とコミットメントの必要性
step5.行動の決定
多様な経験を通じて自分で選び取り、それを統合すること」が現代における健全なアイデンティティ確立の鍵となるため、まずは動いてみましょう。
情報を得ることは大事ですが、集めすぎて何も行動ができなくなる”頭でっかち”になるのは損です。「とりあえずやってみる」がキーワードです。
投稿日: 2025年12月31日 - 更新日: 2025年12月31日