:リーダー(フレーミング効果活用)
:役員(損失回避傾向が強い)
数値や論理よりも、そのフレーミングが喚起する「感情(例:不安、安心感)」に強く引きずられ、判断が左右される。
提示された情報の背景や文脈(コンテキスト)を深く分析せず、目の前の提示方法(フレーミング)のみで判断を下す。
損失(リスク)が強調されたフレーム(例:失敗率10%)を提示されると、過度に慎重になり、リスクを避けようとする傾向が非常に強い。
「成功率90%」と「失敗率10%」が数学的に同じ意味であることを認識できず、提示された言葉に引っ張られて判断を変えてしまう。
時間をかけて多角的に分析する(システム2)ことを避け、直感的な判断(システム1)を優先するため、最初に提示されたフレームに依存しやすい。
部門のリーダーが、リスクを伴う新技術導入について、役員に意思決定を促そうとしています。リーダーは、損失回避の心理を突くフレーミングを利用しています。
新技術Xを導入すれば、市場シェアを今後3年で15%拡大できる可能性が高いです。投資に見合う大きなリターンが期待できます。
15%の拡大は魅力的だが、そのための初期投資は非常に高額で、技術的なリスクもある。万が一失敗したら、損失は大きい。そこまでのリスクは取れないな。 (→ 利益フレームでは、リスクを過大評価し、挑戦を躊躇している。)
承知しました。では視点を変えてご説明します。もし、この新技術Xを導入しなかった場合、どうなるでしょうか。
導入しない場合? 現状を維持するだけだろう。
いいえ。競合他社がX技術を導入した場合、現状を維持するということは、確実に市場シェアの15%を失うことを意味します。つまり、現状維持は『15%の損失を確定させる』ことになります(損失フレーム)。 (→ 行動しないこと(現状維持)を、具体的な「損失」として再定義し、不安を煽る。)
市場シェア15%の損失…。それは致命的だ。絶対に避けなければならない。
その通りです。つまり、今回の意思決定は『市場シェア15%を確実に失うリスク』を取るか、それとも『15%を拡大する(=失うことを回避する)ための投資』に踏み切るか、という選択になります。 (→意思決定が、「利益獲得」から「損失回避」へと完全に転換している。)
わかった。損失回避が最優先だ。では、『15%の損失を避けるために』、この技術を導入する方向で進めよう。
現代社会では、マーケティング、政治、報道など、あらゆる場面でフレーミング効果が意図的に利用されています。
特に、「利益(ゲイン)」として提示されるか、「損失(ロス)」として提示されるかによって、判断が逆転しやすい特徴があります。
【利益(ゲイン)フレーム】
人は利益を得る可能性に直面すると、確実性を好み、リスクを回避する傾向がある。
【損失(ロス)フレーム】
人は損失を回避する可能性に直面すると、リスクをあえて取る傾向がある。
今回の会話例では、役員の持つ「損失回避の傾向」を正確に利用し、意思決定の枠組みを「利益を追うリスク」から「損失を避けるためのリスク」へと操作することで、望ましい結論へと誘導しました。
相手を説得する際には、重要視している事項を見極め、伝え方を工夫する必要があります。
小手先のテクニックではなく、相手を想った言動が大切だと感じています。
投稿日: 2025年12月31日 - 更新日: 2025年12月31日