:同僚A(認知的不協和解消に躍起)
:同僚B
自分の信念と矛盾する情報(不協和な認知)に触れた際、信念の方を優先し、情報を徹底的に無視または否定する。
多大な時間や金銭を費やした行動や選択に対し、その結果が期待外れであっても、「それに見合う価値があった」と過大に評価する。
健康に悪いと知りつつ行う行動(例:喫煙、不摂生)に対し、「ストレス解消になる」「遺伝だから大丈夫」などと都合よく理由づけ、危険性を低く見積もる。
ある選択(例:高額な商品購入)をした後、その選択を正当化するため、その選択を肯定する情報ばかりを集め、否定的な情報を避ける。
自分の行った非倫理的・不適切な行動を正当化するため、その行動を促した環境や他者に対し、非情な態度や強い不満を示す。
高額な自己啓発セミナー(多額の費用と時間を投じた)を受けた同僚Aと、その効果を客観的に見ている同僚Bの対話。同僚Aはセミナーの効果が薄いにもかかわらず、その事実を認められず、必死に正当化しようとしています。
例の100万円かけたリーダーシップセミナーが終わって3ヶ月経つけど、実際どう? 売り上げアップに繋がるような、具体的な成果は出た?
成果、ね。売り上げはまだ変動はないけど、そんな表面的なことじゃないんだ。このセミナーはそれ以上の価値があるんだよ(②努力の正当化)。 (→ 認知:100万円かけた。不協和:成果が出ていない。解消:価値を『精神的』なものだと過大評価する。)
でも、セミナーの目標は『3ヶ月でチームの生産性を20%向上させる』だったよね。具体的な目標達成プランは何か役立っているの?
あのプランは、私たちの会社の特殊な状況には合わなかっただけだ(否認)。そもそも、生産性なんて目に見えないものは重要じゃない。このセミナーで手に入れたのは、『絶対に成功できる』という揺るぎない信念なんだ(①信念固着)。」 (→ 客観的な事実(プランの非有効性)を否定し、非検証可能な精神論で信念を固める。)
そうか。でも、前に読んでいた心理学の本では、そういう高額なセミナーは『カルト化しやすい』って指摘されていたけど、その点についてはどう思う?
あの本は読んでいないし、間違った情報だと思う(④選択後の情報探索)。僕が読んでいるのは、セミナーの創始者が書いた本と、卒業生の成功体験談だけだ。僕と同じ考えを持つ人が、成果を出しているのが真実なんだ。 (→ 自分の選択を否定する情報を積極的に避け、肯定する情報だけを集める。)
自信を持てたなら良かった。ただ、そのセミナーで『チームの協調性が重要』だと教わった割に、最近チームメンバーへの指示がすごく強引になった気がするけど…
それは仕方ないんだよ。僕が正しい方法(セミナーで学んだこと)を知っているのに、チームの奴らが理解しようとしないからだ(⑤態度の硬化)。理解できない彼らが悪い。僕が間違っているはずがない(自己の正当化)。 (→ 自分の行動(強引さ)を正当化するために、他者(チームメンバー)に責任を押しつけ、態度を硬化させる。)
なるほど。話を聞かせてもらうと、そのセミナーの内容に本当に価値があると信じているんだね。
現代社会は情報過多、自己責任論、選択肢の多さから、この不協和が生じやすく、またそれを解消するための合理化が強く働く傾向があります。
今回の会話例では、不快な状態を解消するため、論理ではなく認知の変更を選びました。
【行動の正当化】
「100万円かけたこと」を正当化するため、目に見えない「信念」や「人生観」という項目に価値を転換した。
【情報の選択】
否定的な情報(本の内容、同僚Bの指摘)を無視し、肯定的な情報(創始者の本、成功体験談)だけを選んだ。
認知的不協和が強く解消された状態(信念固着)の相手は、論理的な対話が極めて困難になります。
「100万円かけたのに何の成果も得られませんでした」と言えるくらい余裕があれば、コミュニケーションはうまくいく。
投稿日: 2025年12月31日 - 更新日: 2025年12月31日